女子オムニアム/機材サポートの梶原選手が優勝、世界チャンピオンに!【2020UCIトラック世界選手権】


レース名:2020 UCI TRACK CYCLING WORLD CHAMPIONSHIP / 2020UCIトラック世界選手権
種目:女子オムニアム
開催日:2020年2月28日(金)
開催地:ドイツ/ベルリン ベロドローム

2月28日、ベルリンで行われている2020トラック世界選手権の女子オムニアムにて、チームBS機材サポートアスリートの梶原悠未選手(筑波大学)が優勝しました。3種目目に落車がありましたが、他の3種目を上位で走り、総合ポイントでは2位に大きく差をつけての金メダルでした。日本にまた、自転車競技での世界チャンピオンが誕生しました。



オムニアムはトラックでの複合競技。4つの種目を行い、3種目目までそれぞれの順位ごとに獲得できるポイントを合計し、4種目のポイントレースで獲得するポイントを加えた総合得点で争う種目です。

梶原選手はこの種目、昨年の世界選手権で表彰台に登れなかった悔しさをバネに、1年間練習を積み重ねてきたと言います。その成果の一端は'19-'20シーズンのワールドカップでの優勝として現れており、今年の世界選手権でも優勝候補の一人としてあげられていました。



●第1種目 スクラッチ ーー 1位

全出場選手が同時にスタートし、ゴール先着順に順位が付くロードレース同様のルールであるスクラッチ。梶原選手は序盤から先頭付近に位置取りしています。時折後方へ下がるものの、集団の速度に変化がつく時や、他選手が抜けかけた時には、確実に対処できる場所に移動しています。このあたりの優れたレース感覚が梶原選手の強みです。

最終の5周回を迎え、集団前方のスピードが上がります。ゴールスプリントに向かう集団の中からラスト2周、数名選手の速度勝負。ラスト半周での最終スプリントを開始した先頭数名のなかから梶原選手が別格のスプリント力を見せ一人抜け出し、1位でゴールラインを通過します。



●第2種目 テンポレース ーー 2位

2周回目以降の毎周回、トップで周回を通過した選手に1ポイントが与えられ、その総合獲得ポイント順に順位がつくテンポレース。集団を周回追い越しをすると20ポイントが与えられます。

序盤に1名の選手が抜け出し、先頭得点を数回稼いだのちに周回追い越しを達成し、20ポイント獲得。その大量ポイントを追うように、中盤で梶原選手を含む5名の選手が抜け出し、先頭ポイントを分け合う形で進みます。

そのままラスト4周で5名は集団に追いつき20ポイントを獲得。周回トップを積み上げてきた梶原選手は、合計では2位の得点を獲得しました。総合順位はトップのまま。



●第3種目 エリミネーション ーー 3位

毎2周回ごとに最後尾の選手が除外されるエリミネーション。梶原選手は巧みとも言えるそのレース感覚で終始前方で展開します。

ところが残り6名となった時点で、梶原選手は他の選手と絡んでしまい転倒、落車を喫します。その時点でレースはニュートラル(中断)となり梶原選手らの復帰を待つ形に。



大きな外傷は見られずレースに復帰した梶原選手でしたが、その後はやはり少し精彩を欠いた走りに。残り3人の時点でエリミネートされ、この種目3位に。しかし総合順位は依然トップ、2位とは20ポイント差です。



●最終種目 ポイントレース ーー 総合優勝

10周ごとに設けられたポイント周回での順位ごとにポイントを獲得するポイントレース。1位5ポイント、以下2位が3、3位が2、4位が1ポイントを獲得し、最終周回のみポイントが倍となります。総距離20km=80周回で争われます。

先の種目での落車の影響は

「痛みはあったんですが、日本代表チームスタッフの方々が、走れる準備を迅速に整えてくださったので、集中して走ることができました」

と後に語った梶原選手。最初に1位ポイントを獲得したのち、いったん後方に下がりました。ライバルの動きに備えながら、20ポイントという2位との大きな差を有利に使う戦略です。



「(総合2位の)イタリアの選手をマークして、他の選手の動きも見つつ、何か違う展開が起こっても対応できるように、常に余裕を持って走っていました」

終盤まで総合トップに関わらない選手たちが先頭で展開し、ポイントを稼いでいましたが残り17周、ポイント周回を2回残して数名の選手が抜け出します。総合2位、3位選手を含むこの逃げを梶原選手は見逃さずに合流。結果的に5選手での逃げが形成されました。



その5名が次のポイント周回を争い、その時点でゴールを待たずに梶原選手の総合トップはほぼ確定。梶原選手はここで速度を下げ、残り10周を最終周回まで確実に走り切りました。最終的な総合ポイントは12ポイント差、念願の金メダル獲得です。



日本の女子オムニアム制覇は初。パラサイクリング競技ではない種目で日本人がアルカンシエル(世界チャンピオンジャージ)を獲得するのは33年ぶりとのことです。


「世界選手権で金メダルを獲り、東京2020オリンピックで金メダルを獲るのをずっと目標に掲げてきました。まずは目標が1つクリアできたので、自信を持って東京2020オリンピックまでの残りの期間により一層高いレベルのトレーニングに努め、東京2020オリンピックでも必ず金メダルを獲りたいと思います」



「常に目標を掲げて、目の前の目標をクリアできるように、そして自分の夢であるオリンピックでの金メダル獲得に向かっていくように、普段から取り組んできました。それが今、一つ一つ実現していっているのは、本当に良い形かなと感じています」

悔しさをバネに、夢へのステップを登ってきた梶原選手。次の夢は、東京2020オリンピックという大舞台での金メダルです。この世界選手権での勝利を弾みにし、次なる高みにある夢も必ずや、その手にするに違いありません。



【リザルト】 2020トラック世界選手権 女子オムニアム 2020/2/28

1 KAJIHARA Yumi 梶原悠未(日本)121ポイント
2 PATERNOSTER Letizia(イタリア)109ポイント
3 PIKULIK Daria(ポーランド)100ポイント

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